開発エピソード 2:二重反転ヘリコプター差動機構
現在は別会社で製造販売している、同軸二重反転タイプの一人乗りヘリコプター「GEN H-4」。皆さんご存知の一般的なヘリコプターと違って、「GEN H-4」には機体の向きを調整するためのテールローター(尾部のプロペラ)がありません。このため、空中に静止してその場で向きを変えたり、同じ方向を向き続けるためには、工夫が必要です。
一般的なヘリコプターのようにテールローターを持ったり、その位置にラダー(舵)をつけたりすれば話は簡単ですが、それでは機体をコンパクトにした意味がありませんし、何より芸がありません。技術を売り物にしている当社にとって、ただの超小型ヘリコプターの開発にチャレンジする価値はないのです。
「GEN H-4」ではこの課題を、操縦者や自動制御装置の操作により、二重に重ねたローターの回転数を微妙に変化させる「トランスミッションの差動機構」の開発によって解決しました。たとえば、上側のローターと下側のローターの回転比率を1.02:0.98と変化させてやると、その余剰反力を機体が受け、その分だけ方向が変化するわけです。
とはいえ、この機構は当社がゼロから発案・発明したものというわけではありません。当社の前にはどの企業も実現できなかった同軸二重反転飛行体とその差動機構ですが、そのヒントは、車のデフギアや、戦車の左右のキャタピラの駆動速度を変化させる機構など、さまざまな先行技術の中に存在していました。そうした先人の知恵を余すことなく用い、さらに現代に必要とされている課題を解決すべく、適用のための設計を行う---。これこそが、発案の独創性が最も重要な「発明家」とは違う、「設計開発会社」の生業なのかもしれません。